相続は大人だけが経験するものではありません。
残念ながら不慮の事故や突然の病などで、早くに親を亡くし、赤ちゃんが相続人となるケースもあります。
では、まだ産まれていないお母さんのお腹の中にいる胎児は相続をする事できるのでしょうか。
結論から言いますと、可能です。
相続の法律では、お腹の中にいる胎児が相続する場合、すでに産まれたものとみなされます。
しかし残念ながら、流産してしまった場合や、死産などの場合など生まれてくる事ができなかった場合は、相続できません。
日本の法律では民法で、「権利能力」と言い、日本人としての義務や権利などを持つと言う法律があります。
この権利能力が認められるのは出生と同時とされている為、まだ産まれていない胎児には権利能力がありません。
しかし相続に関しては例外です。
民法によると、「胎児は、相続については、すでに生まれたものとみなす」と規定されています。
妊娠をして、順調にお腹の中で育てば、いずれ生まれてくる事になります。
そこでもし、兄弟姉妹がすでに存在している場合、いずれ生まれてくるにも関わらず、胎児であった事を理由に相続人とならないとなれば、時間の差による胎児の不利益が発生してしまいます。
そのことを防ぐためにこの法律がつくられたとされています。
相続財産について
また、一般の相続と同じようにプラスの財産の相続だけではなく、債務の相続も含まれます。
借金などのマイナスの相続をさせたくない場合は、生まれてきた赤ちゃんの為に、相続放棄などの手続きを行ってあげる必要があります。
赤ちゃんは自分の意思で相続財産をもらうか、放棄するかを決める事や、手続きを行う事ができないため、しっかりと的確な手続きをしてあげる必要があります。
こちらも死産や生まれてこれなかった場合は、権利を失い、生まれてきた場合は、相続の開始の時にさかのぼって相続をする事になります。
ですので、胎児が生まれてくるまでの間は相続人の確定ができない為、相続人に胎児が含まれる場合、その胎児が生まれるまでは遺産分割協議ができません。
遺産分割協議の方法
胎児が無事に出まれてきたら、遺産分割協議を行います。
お母さんと子ども(生まれてきた胎児を含む)が相続人というように、親子で相続人になるケースが多く、この場合は「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
母親が生まれてきた子の代理人となるのが通常ですすが、遺産分割協議の代理人となってしまうと、親の有利な内容で取り決めてしまう恐れがあるためです。(利益相反)
まとめ
相続人に胎児がいる場合、通常の相続手続きとは異なってきます。
下記の2つのポイントを抑えておくと良いでしょう。
- 胎児が生まれてくるまで、遺産分割協議を行わない
- 遺産分割協議を行う場合、「特別代理人」を選任する
手続について不明な点がありましたら、ご相談ください!